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  • 執筆者の写真水口 貴成

ケアスマイル通信 №14 「うつ病と鍼灸治療について」


こんにちは!


西宮市甲子園口北町、鍼灸マッサージ院(はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル)の水口です。


今回のテーマは「うつ病と鍼灸治療」です。


うつ病の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的素因のある人に、心的ストレスや身体要因が加わり発症するとされています。現代医学の進歩により、さまざまな治療法が存在しますが、近年では鍼灸治療がうつ病の症状緩和に役立つことがわかってきました。


このブログでは、鍼灸治療とうつ病について、その効果と利点について紹介します。




1.うつ病(単極性うつ病)とは

 食欲の低下あるいは亢進、不眠あるいは過眠、気力の低下、無価値観、思考力・集中力の低下、死についての反復志向などを呈する精神疾患・気分障害の一種です。似たような病気で躁うつ病(双極性障害)というものがあるが、現在ではうつ病と双極性障害は別の精神疾患として認識されています。


2.うつ病の症状

 基本的な症状は「抑うつ気分」、「興味・喜びの喪失」であり、その他様々な身体症状を呈するのが特徴的です。


夏目漱石の有名な著書である「草枕」には次のような言葉(智情意)が記されています。


「智ちに働けば角かどが立つ。」

「情に棹(さお)させば流される。」

「意地を通とおせば窮屈だ。」

「とかくに人の世は住みにくい」


これら「智・情・意」はまさにうつ病の精神症状の特徴として的確にとらえているとされています。

また、「智・情・意」に「体」を追加して、身体の問題も含めてとらえることができます。


例えば


「智」は「思考・認知」(大脳新皮質)の症状と関連している。

・集中できない

・決断できない

・過去のことを後悔する

・自分が悪い


「情」は「気分・感情」(大脳辺縁系)の症状と関連している。

・憂うつ

・わけもなく悲しい

・何も楽しみがない、楽しめない

・自信がなく常に不安である


「意」は「意欲・行動」(前頭前野)の症状と関連している。

・やる気が起きない

・人と会いたくない

・行動しようにも億劫になる


「体」は「身体症状」(視床下部)と関連している。

・だるい(疲労感)

・ねむれない(睡眠障害)

・食欲がわかない(食欲不振)

・自律神経症状など


このようにうつ病の複雑な症状を的確にまとめることができますが、うつ病は様々な症状を呈するため、専門医でないと正確に判断することが出来ません。


2.うつ病に対して鍼灸治療を行う意義

うつ病において、身体症状でほぼ100%出現する症状が「睡眠障害」です。


しっかり睡眠をとらないと心身ともに回復させることが出来ませんが、睡眠障害があるがゆえに回復に時間がかかってしまうのです。


また、うつ病における薬物療法は副作用もあるため、さらに他の身体症状が顕著に出現してしまい、うつ病の標準治療に不満を抱くケースも多々みられます。


本当は、抗うつ薬による薬物療法により、精神症状を良くして、精神症状がよくなれば、身体症状が改善するというものなのですが、副作用によって身体症状が顕著に現れるため、うつ病の治療に納得できていないケースもあります。


薬物療法によって生じる身体症状の悪化に対して、病院で行われる標準治療では対処が難しいですが、鍼灸治療ならそういった身体症状に対してアプローチすることができます。


鍼灸治療は身体症状に対するアプローチとして非常に有効な治療法であり、身体症状が改善すると精神症状も緩和するため、抗うつ薬による薬物療法とセットで治療するとより効果的であるといえます。


うつ病に対して鍼灸治療を組み合わせることは、うつ病患者様にとって非常にメリットが高いということが言えます。


3.鍼灸治療に期待できること

①身体症状の軽減

 肩こり、頭痛、眼精疲労、めまい、筋肉痛、関節痛、神経痛、胃部不快感、便秘・下痢、睡眠障害、倦怠感などの緩和が期待できます。


「肩こりに対する鍼治療」


「緊張型頭痛に対する鍼治療」


特に睡眠障害はうつ病患者にとって深刻な問題の一つであり、鍼灸治療は、神経系を調整し、自然な睡眠パターンを取り戻すのに役立ちます。また、鍼灸による刺激は、副交感神経を刺激して、深いリラックス状態、質の高い睡眠につなげることが期待できます。


②精神症状の軽減

 鍼灸治療は心のリラックスとストレスの軽減に効果があります。手足のツボなどを鍼で刺激することで、副交感神経を優位にしたり、脳内のエンドルフィンやセロトニンといった神経伝達物質が増加したりすることで、痛みの緩和やリラックス状態にすることができます。その結果、うつ病の症状を軽減し、心の安定を促すことができます。


また、うつ病によって引き起こされる不安、抑うつ症状に対しても、鍼灸治療により自立神経系の調整を行い、気分の改善を促すことができます。


4.鍼灸治療の経過

 鍼灸治療はうつ病に対する身体症状・精神症状など多彩な症状に対してもアプローチすることが出来ますが、魔法の治療ではありません。


れっきとした生体反応を利用した科学的根拠のある治療法です。

ですが、1回の鍼灸治療では十分な効果を発揮することが難しいのが現状です。


鍼灸治療は劇的にうつ病の症状を改善させるのではなく、ゆっくり階段を上るかのように少しずつ症状を緩和させていくため、ある程度の継続的な通院が必要となります。




まずは6~12週間は週1回のペースで鍼灸治療を受けることをおすすめします。

その間に、身体症状、自律神経系の症状、イライラ、抑うつ症状、睡眠障害などを改善させていきます。


次の4~9か月間は2週間に1回のペースで鍼灸治療を受け、症状を安定化させていきましょう。


そして最後は症状がひどくなる前に月に一回のペースで施術を受けるか、鍼灸治療を卒業するかの経過をたどることが多いです。


もっとも大切なことは、今自分が困っていることは何のかを明確にし、鍼灸治療でその困り感を改善することで、患者様が抱える問題を解決することにつながります。


5.まとめ

 うつ病は個々の状態によって異なるため、重症度によっては鍼灸治療がすべての患者に適しているわけではありません。しかし、鍼灸治療はうつ病の症状を緩和し、心と体のバランスを整える自然療法としての確かなメリットがあります。


 鍼灸治療を受ける際には、経験豊かな鍼灸師と相談し、個別のケースに合わせた治療計画を立てましょう。鍼灸療法は、うつ病の治療において補完的な役割を果たすことができるかもしれません。


このブログをとおして、うつ病の症状で悩んでいる方に対して、症状の理解や鍼灸治療のことを知るきっかけにつながると幸いです。


ブログを最後までご覧いただきありがとうございました。


この記事を書いている人


水口貴成


はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル院長(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう師)


施術スタイル:現代鍼灸


~経歴~

平成24年 神戸市立盲学校 卒業 

あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師国家資格を取得

平成27年 筑波大学理療科教員養成施設 卒業 教員免許状取得

平成28年 医科大学東洋医学科 研修生 修了

平成29年~令和4年 特別支援学校(盲学校) 理療科教諭 勤務 

令和5年はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル 開業




 急性・慢性的な痛みに悩む患者さんへ、鍼灸マッサージ師として、できることを日々全力で取り組んでいきます。地域の方の健康の維持・向上に努めながら、皆様の抱える辛い痛みを鍼灸マッサージで少しでも和らげて、笑顔あふれる日常を過ごしていただく、そんな治療院を目指しています。






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