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執筆者の写真水口 貴成

ケアスマイル通信 №18 「養生学~セロトニンとは?心と身体の健康に与える影響について~」

更新日:2023年8月30日


こんにちは!


西宮市甲子園口北町、鍼灸マッサージ院(はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル)の水口です。


今回のテーマは「セロトニン」についてです。


セロトニンは、私たちの心と身体の健康に重要な役割を果たす神経伝達物質の一つです。


脳では幸福感や鎮痛、腸では腸運動を活発化させたり、様々な場面で活躍します。


また、このセロトニンが不足してしまうと服用している薬が十分に作用しなかったり、鍼治療の効果が薄くなったりする可能性があります。


このブログでは、セロトニンの役割、不足の影響、セロトニンを増やす方法、鍼灸治療とセロトニンの関わりなどについてご紹介します。



1.セロトニンって何?


セロトニンは、脳と腸の両方で生成・分泌されている神経伝達物質の一つです。


また別名「幸福ホルモン」とも呼ばれ、気分を安定させ、ストレスを軽減する働きがあります。



脳内で生成されるセロトニンは、幸福感や情緒安定、睡眠調節、痛みを和らげたりする鎮痛作用などに関与しています。


腸内で生成されるセロトニンは、腸内の運動を活発化させることなどに関与しています。


しかも腸内で生成されるセロトニンは全体の約90%にも及びます。


さらに、脳と腸は複雑な神経のネットワークを構成し、神経伝達物質などを介して、お互いに影響を及ぼしていることが分かっています。


これを「脳腸相関」と言います。


例えば、ストレスや生活習慣などの影響で便秘になる場合、腸を動かそうと腸内にセロトニンを大量に分泌させます。


その結果、脳ではセロトニン不足の状態となってしまうため、イライラしたり、不安な気持ちになったりしやすくなります。


腸が不健康であれば脳に影響を及ぼし、脳が不健康であれば腸にも影響が出ます。


このように脳と腸には密接な関りが存在し、その中でセロトニンは神経伝達物質として重要な役割を持っています。



2.セロトニンの不足と影響


セロトニンの不足は、さまざまな身体的および精神的な問題を引き起こす可能性があります。


その代表的なものにうつ病があります。


うつ病とは、このセロトニンが極度に不足している状態の方に起こりやすく、不安障害、気分の落ち込み、情緒の不安定、集中力の低下などの精神症状だけでなく、便秘、睡眠障害、痛みに過敏になったりする症状も現れることが多いです。


これはひとえにセロトニンの作用が十分に発揮できていないために起こる症状とされています。


うつ病患者に投与される「抗うつ薬」は、このセロトニンが再吸収されるを抑制し、脳内のセロトニン量を増やす薬です。





しかし、そもそも分泌されているセロトニンが少ない場合は、この「抗うつ薬」も十分に効果が発揮されているとは言えません。


また、セロトニンが不足している人は、表情筋や抗重力筋が硬くなっていることが多い。


主に肩こり、背中のこりに関与している筋肉が硬くなっていることが分かっている。


まずは、セロトニンが十分に生成される、分泌されるように生活習慣を見直すことが重要となってきます。



3.セロトニンを増やす方法


ここからがこのブログで最も重要な内容です。


どのようにすればセロトニンの量を増やすことが出来るのか?

特に食事と日光浴はセロトニンを増やすための活動として重要なことです。


①バランスの取れた食事

 セロトニンはトリプトファンという栄養素から生成されます。


トリプトファンは必須アミノ酸の一つで、大きい栄養素の分類でいえばタンパク質のことを指します。


すなわち、トリプトファンが多く含まれているタンパク質の食品を摂取することが重要です。


豆腐・納豆・味噌などの大豆製品、鶏肉、魚などに含まれている。





※ただし、トリプトファンは揚げ物と一緒に食べるとキヌレインという炎症に関連する物質に変換されてしまいます!


そのため、揚げ物と一緒に食べないことをお勧めします!




②日光浴

 太陽の光を浴びることで、セロトニンの生成が促進されます。


毎朝、必ず朝日を浴びるだけでセロトニンを増やすことができる。


一番お手軽な方法です。


また外出することで自然の中で過ごす時間を増やし、気分が明るくなることがあります。



③運動

  運動はセロトニンの分泌を促進する効果があります。


特に有酸素運動は効果的です。毎日の軽いウォーキングやジョギングを取り入れることで、セロトニンの増加が期待できます。



④ストレス管理

 ストレスはセロトニンの減少を引き起こす要因の一つです。


リラックス法や深呼吸、瞑想・マインドフルネスなどのストレス管理法を取り入れることで、セロトニンの維持が可能です。



4.鍼治療とセロトニン

 鍼治療には鎮痛作用があります。


その代表的な鎮痛作用のことを下行性疼痛抑制系と言います。


これは、人体に痛みが起こると、痛みの情報が脳に伝達され、脳内からセロトニンやノルアドレナリンが分泌されて痛みを抑制しようとする働きのことを言います。


これは、人体にもともと備わっている痛みを抑制する機構であり、鍼治療はこのメカニズムを利用して鎮痛作用を引き起こしています。


つまり、鎮痛を引き起こすためにはセロトニンの分泌が不可欠であり、セロトニンの絶対量が少なくなっている患者には鍼治療の効果が効きにくい状態となっています。


鍼治療をしていくなかで、鎮痛作用や効果が感じ取れない場合は、もしかしたらセロトニン不足である可能性があります。


その場合は、食事療法や生活指導を行う必要があり、セロトニンを増やすまでに1か月ほどの期間が必要となります。


鍼治療をうけても鎮痛作用が起きず、悩んでいる患者様は、いったん前述したトリプトファンを含む食事を積極的に取られてみてはいかがでしょうか?



5.まとめ

 セロトニンは私たちの心と体の健康に深く関わる重要な物質です。


バランスの取れた食事、運動、日光浴、ストレス管理などを通じて、セロトニンのバランスを保ち、幸福な生活を送るための努力をすることが大切です。


必要に応じて、専門家の指導を受けながら、セロトニンの健全なバランスを保つことをおすすめします。


ぜひこのブログを参考にして、自身のセロトニン量を増やしてみてはいかがでしょうか?


最後までご覧いただきありがとうございました。


この記事を書いている人

水口貴成

はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル院長(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう師)

施術スタイル:現代鍼灸

~経歴~

平成24年 神戸市立盲学校 卒業 

あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師国家資格を取得

平成27年 筑波大学理療科教員養成施設 卒業 教員免許状取得

平成28年 医科大学東洋医学科 研修生 修了

平成29年~令和4年 特別支援学校(盲学校) 理療科教諭 勤務 

令和5年はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル 開業


 急性・慢性的な痛みに悩む患者さんへ、鍼灸マッサージ師として、できることを日々全力で取り組んでいきます。地域の方の健康の維持・向上に努めながら、皆様の抱える辛い痛みを鍼灸マッサージで少しでも和らげて、笑顔あふれる日常を過ごしていただく、そんな治療院を目指しています。




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