右腰殿部痛（急性腰痛：仙腸関節性腰痛の疑い）
【患者】40代 女性
【主訴】
右腰殿部痛
【その他の愁訴】
右親指の痛み、肩こり
【施術回数】 1回
【通院期間】 初回
【来院までの経過】
・来院したその日の朝、座った状態で下にある物を取ろうとしたときに、右殿部に痛みを感じるようになった。
・特に前かがみになると右腰と右殿部に痛みを感じている。
・急な痛みが出現したので、すぐに当院まで駆け込んだ。
【初診時の状態】
・腰部の可動域：前屈可動域制限
・腰部の動作時痛
前屈時に右腰殿部に痛み
・神経学的所見
特記事項なし
・筋緊張と圧痛
多裂筋、上後腸骨棘部、仙腸関節部
【施術方針】
・体幹の前屈時に右腰殿部があり、SLR等も陰性で、下肢症状はないため椎間板ヘルニアの可能性は低いと考えました。痛む部位が殿部で、パトリックテストやゲンスレンテストという仙腸関節の問題を確認する検査が陽性であったので、仙腸関節性腰痛を疑いました。
・そこで、筋緊張がみられている多裂筋と圧痛所見のある仙腸関節部に対して、鍼治療を実施しました。
【施術の経過】
≪1回目≫
多裂筋の筋緊張の緩和、仙腸関節部の痛みの感覚過敏を正常化（疼痛閾値の上昇）させる目的で、胸腰筋膜、多裂筋、仙腸関節部に右に4本ほど鍼を置鍼して、赤外線を当て温熱療法も併用しました。
施術後は前屈動作が少し楽になった程度であったが、後日お会いしたときに右腰殿部の痛みがなくなっていたため、仙腸関節性腰痛の鍼治療はこれで終了しました。
【施術の考察】
1回の治療で痛みがなくなった理由として、鍼治療による鎮痛メカニズムがうまく機能したことが考えられます。また、腰痛の強度も動けなくなるほど強いものではなかったため、回復が早かったと思われます。仙腸関節性腰痛は女性に多いが、教科書的には発症頻度はそんなに高くないため、鍼治療でうまく軽減できた貴重な症例でした。
※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
