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​どうして全身施術が効くのか?

1.なぜ全身施術をおこなうのか?

 痛みの分類には大きく3つあり、①痛みのセンサーの障害(侵害受容性疼痛)、②神経の障害(神経障害性疼痛)、③障害の有無に関係ない持続的な痛みから起こる神経の機能の亢進(または低下)(痛覚変調性疼痛)などがあげられます。発症から3か月を超えて、頑固な慢性的な症状となった場合、上記のうちの③痛覚変調性疼痛の関与が疑われ、簡単に言えば脳が痛みを記憶してしまっている状態、痛みに対して過敏な状態となっていることが考えられます。また、持続的な痛みは精神症状として現れ、抑うつ状態などを引き起こし、精神的ストレスを感じると痛みが現れるといった悪循環を生む結果となります。(図:北海道大学 日本医療研究開発機構から引用)

 もちろん、痛みの治療は単純なものではなく、複数の要因が関与しています。あん摩・手技療法・特に鍼灸治療は図で示した悪循環を断ち切ることが期待されています。痛覚変調性疼痛の場合、脳に多くの情報を入力するために、頭部・手足の末端にも刺激を加える必要があり、全身をじっくり施術することが効果的であると考えられます。必要に応じて低周波鍼通電療法を実施するとより効果的です。低周波鍼通電の方法も慢性痛や皆様の状態に合わせた方法で実施します。

痛みの悪循環

2.刺激する部位はどこか?

 当院では東洋医学的な施術では、症状に応じて効果が期待できる経絡経穴(ツボ)に刺激を行います。現代医学的な施術では、筋・筋膜などの問題を中心に考え、トリガーポイントを狙って刺激します。

※トリガーポイント(引き金)とは・・・

 筋・筋膜が原因で起こる痛み(筋・筋膜性疼痛症候群)や線維筋痛症などにおいてみられ、主訴である痛みを誘発する反応点のことを言います。関連痛・放散痛・連関痛とも表現されます。

 皮膚の擦り傷や切り傷・・・・痛みの部位は明瞭!!

 腕立て伏せの翌日の筋肉痛・・・明瞭な痛み?

 肩こり・・・本当に原因は肩?

 筋肉の痛みの大半は、実際に本人が感じている痛みの部位痛みの原因となる部位は一致しないことが多いです。

 つまり、本人が痛みと感じている部位の情報は正しくもあり、正しくない場合もあります。例えば、肩こりも実際は頸部、背中、腕にあるトリガーポイントが引き起こしている可能性があります。

 その症状の原因となっているトリガーポイント(引き金)を見つけ出して刺激することで、症状の緩和を図ります。

※トリガーポイントと圧痛点の違い

 ​圧痛点とは単純に押していたい部位を指します。トリガーポイントは押して痛いだけでなく、以下の条件が含まれています。

 ①索状硬結と呼ばれるロープ上の塊の上に圧痛がある。

 ②圧痛部位とは全く関係ない遠隔部に痛みがある(関連痛や症状の再現)。

 ③圧痛部位を押すと痛みで身体を引っ込める(ジャンプサイン)。

 ④索状硬結を指で弾く、または鍼で刺激すると瞬間的にピクピクと筋収縮がみられる(局所単収縮反応)。

​※トリガーポイントが有効な症状

 教科書的には筋肉痛や筋緊張に有効・・・・だけではない!!

そもそも筋肉は骨に付着しており、関節などを含めた整形外科的な症状に広く対応できる。

 ①トリガーポイントが引き起こすのは痛みだけではない。

 ②しびれや痒み、冷感や熱感などの異常感覚も引き起こす。

 ③トリガーポイントの刺激は自律神経にも影響を与える(おなかが鳴ったり、鼻水が出たりなど)。

​※トリガーポイントが鍼において有用な点

 ①組織選択性で鍼の深さを変えることで、深部の筋肉・関節にもアプローチできる。

 ②副作用が少ない。

 ③短い施術時間でも高い効果が得られる。

 ④刺激量をコントロールできる(高めたり、抑えたり)。

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