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執筆者の写真水口 貴成

ケアスマイル通信 №9 顔面神経麻痺の原因、症状、治療法について!

更新日:2023年6月6日

皆さんこんにちは!

西宮市甲子園口北町で鍼灸マッサージ院(はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル)をしている水口です。


今回は少しマイナーなテーマ、「顔面神経麻痺」についてお話しします。


つい先日発売されてた「顔面神経診療ガイドライン2023年」




これはお医者さんが顔面神経麻痺に対してどのように検査や治療を進めるのかを示したガイドラインとなっています。


そのガイドラインで、鍼治療が急性期の早期回復、慢性期でみられる後遺症の軽減に対して「弱く推奨する」と記載されました。


ひと昔前までは「推奨しない」だったので、研究が進んで鍼治療にもエビデンス(科学的根拠)が示されるようになった結果だと思います。



これは研究に携わる多くの先生方の成果であり、お医者さんが治療に用いるガイドラインで、鍼治療が弱い推奨であるものの、治療の一つとして認知されたことは、鍼灸業界にとってはものすごいことだと思います。


なので今回この顔面神経麻痺をテーマとしてあげさせていただきます。




顔面神経麻痺とは、顔の筋肉を制御する顔面神経に障害が生じることで引き起こされます。


顔面神経は私たちの表情や口の動きを支配する重要な神経であり、その神経に麻痺がおこると日常生活に大きな影響を及ぼします。


例えば、飲み物を飲むときにこぼれる、笑顔がゆがむ、笑顔ができないから人前で話せなくなる、後遺症で顔がぴくぴく動いて不快、食事の時に勝手に顔が動くなど、非常に不快な症状が出てきます。


特に、女性が顔面神経麻痺となってしまうと抑うつ症状が出現するケースもあります。美容の面においても問題となります。


なので、顔面神経麻痺を扱う鍼灸師にはそれなりの知識が必要となります。


それでは、顔面神経麻痺の原因、症状、そして治療方法について説明させていただきます。


1.顔面神経麻痺の原因とは?

  顔面神経麻痺を引き起こすものとして以下の原因があります。

 ①ヘルペスウイルス(単純ヘルペスによるベル麻痺、帯状疱疹ウイルスによるハント症候群)

 ② 外傷や腫瘍による顔面神経麻痺

 ③ 中耳炎

 ④糖尿病

 ⑤ギランバレー症候群

 ⑥脳梗塞など


 原因はいくつかありますが、主な原因はヘルペスウイルスの再活性とされています。このウイルスは神経組織に感染・潜伏して、免疫力が下がったときに再び感染症を引き起こし、顔面神経の炎症を引き起こすため、麻痺が生じます。


2.顔面神経麻痺の症状と特徴

 ここでは主に大半を占めるベル麻痺の症状をあげます。


 ① 片側の顔面筋(表情筋)の麻痺

 ②表情の制御の困難

 ③味覚障害、聴覚過敏

 ④涙や唾液の分泌の問題

 ⑤瞼を閉じれないため目の乾燥など


 症状の程度は個人によって異なりますが、多くの場合、早期の治療とリハビリテーションによって改善することができます。


60~70%は自然治癒、適切な治療を受ければほとんどの方が治癒するとされています。


治癒までの期間ですが、軽症例だと3か月程度、中等度だと3~6か月、重度だと1年近く回復に時間がかかるケースがあります。


重症例だと治癒期間が延長するだけでなく、後遺症が出現する場合があります。


鍼治療はこの重症例、後遺症が出現する可能性のある顔面神経麻痺患者に対して、治癒の促進、後遺症を緩和させることが期待できます。


3.顔面神経麻痺の治療方法

 顔面神経麻痺が出現した場合は、すぐに医療機関(神経内科・耳鼻科など)の専門医に受診してください。そこで標準治療を受けながら、鍼治療を受けることをお勧めします。


医療機関で行われている標準治療は以下の通りになります。


 ①薬物療法(ステロイドや抗ウイルス薬の使用)

 発症してすぐ、医師の指導のもと、ステロイド薬(プレドニゾロンなど)と抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビルなど)が服用、もしくはステロイドパルス療法といった高濃度のステロイドを静脈内に投与(点滴)する治療が行われます。軽度の麻痺であれば、3~4週間以内に回復の兆しがみられます。3~4週間たっても重度の麻痺がみられる場合は、後遺症を残す可能性が高くなります。

 ②手術療法(顔面神経減圧術)

 顔面神経を圧迫ている部位を除圧する手術のことで、薬物療法を行っても高度の麻痺が残っている場合に行われる手術です。およそ、麻痺が生じてから1か月以内に行われます。


 ③リハビリテーションと理学療法

 後遺症を予防するために、表情筋のマッサージやストレッチ法の指導を受けます。


ここで、注意してほしいことは、過度なマッサージや百面相をするような運動は、かえって後遺症を助長することになります。特に麻痺が発症してからの10~14日までの間は、マッサージや顔面の運動は禁止されています。


顔面が動かなくなって、患者様の心境としては早く治したい!と思うのが自然なことかと思いますが、過度な運動は、後遺症を助長するということを患者様も十分理解しておく必要があります!


 ④ボツリヌス毒素療法(ボトックス注射)

 後遺症による顔面部のこわばりに用いられる治療法で、ボツリヌス菌の毒素を利用して筋肉の緊張を和らげることができます。ただし、ボトックス注射は治療法として、価格が高いことがネックである。


 ⑤鍼治療

 鍼治療に関しては、治療が早期であれば、経過が良いとされています。麻痺が発症してから10~14日までは炎症が完成していない時期なので、鍼治療を行うのであれば10日以降が望ましいとされています。また、低周波通電に関しては、議論がありますが、後遺症を助長するとされています。特に筋肉が大きく動くような鍼通電療法は避ける必要があります。


顔面神経麻痺で鍼治療を受ける場合は、鍼灸師ならだれでもよいか、というわけではなく、以下のポイントがわかってる鍼灸師が望ましいです。


 ・日常生活委の指導や顔面部のセルフケアの指導ができる

 ・顔面神経麻痺に対する知識がある

 ・鍼治療の目的や内容をしっかり患者様に説明できる


鍼治療を受ける頻度としては重症度で異なりますが、週1回、まずは10回(約3か月)ほど受けてみるとよいと思います。


4.まとめ

 顔面神経麻痺は、日常生活に大きな影響を及ぼす状態ですが、早期の診断と適切な治療によって改善することができます。


医師の指導のもとで適切なケアを受けることが重要です。また、心理的なサポートや予防策も忘れずに取り入れることが大切です。


また、鍼治療は顔面神経麻痺によって生じる顔面部のこわばり、ツッパリ感、痛みだけでなく、全身の症状、首・肩こり、頭痛、不安感など、心身ともにアプローチすることができます。


治療が長期にわたる分、最も大切なことは患者様自身でセルフケアを持続し、鍼治療を継続して行っていくことが、回復を早め、後遺症を予防することにもつながります。


以上で、顔面神経麻痺に関するブログを終わります。ご参考になれば幸いです。


ブログを最後まで見ていただきありがとうございました。


もしよろしければ次のブログも見てください。





この記事を書いている人

水口貴成

はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル院長(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう師)

施術スタイル:現代鍼灸

~経歴~

平成24年 神戸市立盲学校 卒業 

あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師国家資格を取得

平成27年 筑波大学理療科教員養成施設 卒業 教員免許状取得

平成28年 医科大学東洋医学科 研修生 修了

平成29年~令和4年 特別支援学校(盲学校) 理療科教諭 勤務 

令和5年 はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル 開業


 急性・慢性的な痛みに悩む患者さんへ、鍼灸マッサージ師として、できることを日々全力で取り組んでいきます。地域の方の健康の維持・向上に努めながら、皆様の抱える辛い痛みを鍼灸マッサージで少しでも和らげて、笑顔あふれる日常を過ごしていただく、そんな治療院を目指しています。

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