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左腰痛(急性腰痛:筋・筋膜性腰痛の疑い)

症状のある部位

【患者】40代 男性

【主訴】
左腰痛(VAS安静時:20㎜→0㎜、動作時:80㎜→0㎜)

※VASとは臨床の場で広く使用されている痛みの評価尺度です。数値が高いほど痛みの強度が強く、100㎜は「これまで経験した最も激しい痛み」、0㎜は「痛みなし」で評価されます。ここでは痛みに限らず、症状の強度を表しています。

【不定愁訴】
特になし

【施術回数】 5回


【通院期間】 1か月

【来院までの経過】
・来院したその日、膝を伸ばした状態で重いものを持った時、左の急性腰痛(ぎっくり腰)が出現した。

・ぎっくり腰は3度目で、鍼治療の経験あり。

・足の痛み、しびれなどはなく、うつ伏せで寝ているときは楽で、座ったり歩くときに痛みが増強する。

【初診時の状態】
・腰部の可動域:前屈可動域制限

 
・腰部の動作時痛
 前屈・左右側屈(横に倒す)時:左腰部に痛み

・神経学的所見
 特記事項なし

・筋緊張と圧痛
 最長筋、腸肋筋、多裂筋、中殿筋、大殿筋

【施術方針】
 ・体幹の前屈時に強い腰痛があり、痛みで曲げることができないが、下肢症状はないため椎間板ヘルニアの可能性は低く、筋・筋膜性腰痛を疑いました。

・疼痛軽減テストとして、多裂筋・最長筋間にリリースを実施した結果、痛みの軽減がみられました。そこで、多裂筋・最長筋間の滑走障害と仮定して、腰部の筋膜に対して鍼灸治療を実施しました。

【施術の経過】
≪1回目≫

VAS安静時:20mm、動作時:80㎜、多裂筋・最長筋間の滑走障害に対して、痛みの感覚過敏を正常化(疼痛閾値の上昇)させる目的で、週1回のペースで、多裂筋・最長筋間、多裂筋、大殿筋などに鍼治療で置鍼10分を行いました。 その後、手にあるツボ(腰腿点)を刺激しながら腰を動かすと症状の顕著な軽減がみられました。来院当初は、腰を曲げながら入店しており、帰るころには歩くスピードが少し速くなっていた。

≪2回目≫

初診時に比べると動けるようになったが、痛みはまだ残っている。VAS安静時:15mm、動作時:60㎜で仕事には、なんとか行けたとのことでした。

​≪3回目≫
VAS安静時:5mm、動作時:20㎜となり、だいぶ痛みも治まってきたため、灸頭鍼を追加しました。

≪4~5回目≫
VAS安静時・動作時:0㎜、痛みがなくなり、ぎっくり腰の前の状態に戻ったようでした。現在は、日常生活上での不自由さはないが違和感は残っている。灸頭鍼は非常に気持ちがよいとのコメントがあり、継続して腰部を温めていくことが効果的だと思われます。今後は月1回、セルフケアを行いながらメンテナンスに移行しました。
 

グラフ

【施術の考察】
1か月の治療期間の中で、鍼治療・灸頭鍼によって痛みがなくなりました。今回の鍼治療による鎮痛メカニズムは、鍼の刺入によるポリモーダル受容器の興奮、軸索反射による血流改善、さらに高位中枢に影響を与え、下降性疼痛抑制系を賦活化させたことが要因であったと考えられます。また、筋肉の滑走障害が解消されたことで、動かすときの痛みも軽減したと思われます。急性腰痛発症1日目に鍼治療の介入が行えたので、回復を速めることができた症例でした。

※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。

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